易経「繋辞下伝」を読み解く10

易経繋辞伝
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易経「繋辞下伝」を読み解く9
繋辞下伝第2章第6節

易経「繋辞下伝」を読み解く10

重門撃柝(ちょうもんげきたく)、以て暴客を待つは、蓋しこれを豫(よ)に取る。(繋辞下伝第2章第8節)

「 重門撃柝(ちょうもんげきたく)、以て暴客を待つは、蓋しこれを豫(よ)に取る。 」

「幾重にも門を重ねて防備を施し、夜拍子木を打って夜警に廻ることで賊の侵入に備えた。おそらくこれは“雷地豫”の卦象を参考に思い付いたものであろう」

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「雷地豫」の卦は下卦の坤(地)を集落の内部、集落と外を隔てる城門に例えます。外卦の震には動くの象意があり、時刻は早朝にあたります。

日の出とともに門が開き、一方で二爻、三爻、四爻で「艮(止)」で夜は門を閉じ外からの侵入を拒む門の開閉の様子です。

また卦象全体で唯一の四爻の陽爻(—)を中心に、境として上下の陰爻(- -)を拍子木に見立て、上卦の震=動の象意より打ち合わせると見立てる。

雷地豫の卦象はそのまま「坎(水)」に見立て、大きな険難から賊の侵入と解釈します。

易経を根底に思索を重ねた老子と孔子が繋辞下伝を読み解くにあたり参考にした伝承、これは当時の中国に在っては口伝などで人々の記憶にも新しい、比較的近い存在としての理想郷が語り継がれていたのだと想像します。

おそらくその理想郷とは、伏羲=大国主命と仮定して、自らが打ち立てた「葦原の中つ国=縄文文化」であったのでしょう。

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農耕の発達は、安定した食料の供給をもたらす一方で、水利や農地をめぐる“争い”が生じるようになった。

易経で言えば、上経の「天水訟」から「地水師」に当たる過程です。

天水訟の卦は上卦は乾(天)であり下卦は坎(水)ですから、天より降り注ぐ雨と見ます。一方で上卦は順行であり水は作物を育てる水利で、農作物の順調な発育を表します。(三爻、四爻、五爻で巽“木”を互体としてとれます)

一方で「地水師」は上卦坤(地)の下に坎(水)で、地に潜った水。日照りを表します。天水訟の時は、下卦の坎で困難を示す者の二爻、三爻、四爻で構成される「離(明知)」を以てして、いさかいは起こっても速やかに和す。

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しかし「地水師」の時は二爻、三爻、四爻で震(騒動)ですから容易に和せず、争いとなるのです。

易経が伏羲=大国主命として仮定して読み解くならば、この天水訟から地水師に至る物語は、国譲りとして半ば国を追われた大国主命が、過去を振り返りながら重ねた想いの表れとして編まれた一遍のかもしれません。

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