桜田虎門「五行易指南」現代語訳⑤

「五行易指南」現代語訳
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桜田虎門「五行易指南」現代語訳⑤

桜田虎門「五行易指南」現代語訳④
八卦の五行の分類について

巻1 卦を求むる法

およそ卦を求める方は50本の筮竹を数えること3回にして1爻を求め、これを6爻を求めるから、1卦を求めるに18回にわたり筮を取る。これを18変法(本筮法・詳細は下記リンク先を参照)と言い、易学啓蒙の書・明蓍策の篇に伝えられているところである。

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この筮法をマスターできれば、明日からあなたも立派な易者です…でも今この手順で占いを立てる易者はほとんどいないと思います。

漢の京房はこれに変わり、銅銭三枚を三変の象としこれを六回投擲して、18変法に模し急用の際の占筮法とする「擲銭法」を確立した。大変簡略化した筮法であるが、本筮法のように18回にわたり占的を念じながら集中力を切らさずに占筮するのは甚だ困難であるし、急を要する際の立筮には甚だ不便でもある。

ところで当代に伝わる筮法の一つに「略筮法」というものもある。この占筮法は新井白我先生が採用され、その断法に験ありという評価を得ているが、本卦と之卦の変化を以て占事の変遷を推断するには少々無理が生じる。また平澤随貞先生の確立された占筮法においては、その断法において誤解を生じさせるような誤った所もある。

近世においては「六筮」というものがあり、誰が確立して伝えた物かは明らかではないが、「老陽」「老陰」を以て変爻とするという点においては、18変法の本筮法に似ている点はあるが、その精度は略筮法にも劣る。また「梅花心易」という、事が起こった年月日時を五行に当てはめ立卦する方法もある。

卜筮における様々な流儀は、それぞれ占う目的に準じ、その断法の精度に優劣が存在する。しかしより正確性を究めるのであれば、本筮法の18変法に勝るものは無い。しかしそれでは煩雑に過ぎるので、今は18変法に準じた「擲銭法」を以てその代わりとして紹介したい。

擲銭法とは、銅銭の裏を陽、表を陰として三枚の銅銭を同時に投擲する。その際にもし銅銭が三枚とも裏面となったときはこれを「老陽」、三枚共に表であればこれを「老陰」とする。一枚が裏で残り二枚が表であればこれを「少陽」とし、一枚が表で残り二枚が裏であればこれを「少陰」とする。「老陽」「老陰」はこれが偏して陽爻(—)は陰爻(- -)となり、咽喉は陽爻(—)となる「動爻」となる。

「少陽」と「少陰」は変化の無い「静爻」であり、六爻全てが「少陽」「少陰」を得たので有れば、これは変化同好の無い「不変卦(爻)」と称する。(虎門先生の本文は、銭の表面を“陰”、裏面を“陽”と解説するが、実占上においてはどちらを陰或いは陽としても差し支えない)

使用する銅銭は一般に流通するで銅銭で構わない。“寛永通宝”の形状の良い物を選んで、よく洗って、身を清めて用いるとよいだろう。もし特別に大事なことを占うような時においては、手を洗い、口をそそいで正装し、香を焚いて(場を清めて斎戒し)、銅銭三枚を掌中に収めて柔らかく手を握り、一心にその占う所の想いを心中に念じて掌中の銅銭を軽く振ったのちに六度投擲する。これにより本卦を得た後に、再び占的を念じ六度投擲し之卦を得よ。卦を得た後は、投擲した銭を戴き慎み鬼神に敬意を表すべし。

占的とは、神に奏上する祝詞の様なもので、「礼書」にも書かれているように、卜筮とはつまるところ神仏に捧げる祭祀祈祷と同義であるから、特段中国の言葉を用いたり、特別な祈祷文句を要しない。「本日、何某の某事に付き、吉凶の判断がつかないのでその吉凶の決に付き神霊にお伺いを立て、その吉凶を断じたくなにとぞご神託を賜りたく、よろしく告げ知らせたまえ」…のように唱えて立占すれば宜しい。

占いを立てる室内や場所、あるいは銭を投擲する器や占筮に用いる占具等、それぞれしきたりなどがあるようだが、大切なのは「よろしく吉凶の神託を示したまえ」という占筮前の誠実かつ清い心を持つことが第一義であり、占うための方法や、用いる占具に深くこだわる必要はない。

桜田虎門「五行易指南」現代語訳⑥
五行易の基礎根底である、五行の相生相克の関係と、干支の相合と相冲についての解説です
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  1. […] 2021.10.11 桜田虎門「五行易指南」現代語訳⑤ 占筮法についての解説の章。ただ… 桜田虎門「五行易指南」現代語訳④ 八卦の五行の分類について […]

  2. […] 2021.10.11 桜田虎門「五行易指南」現代語訳⑤ 占筮法についての解説の章。ただ… 桜田虎門「五行易指南」現代語訳④ 八卦の五行の分類について […]

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