桜田虎門「五行易指南」現代語訳 120

婚姻占
婚姻の占法は、官鬼を夫とし、妻財を妻とし、応爻を相手の実家とし、世爻を自身の実家とし、間爻を仲人とする。

ただし子どもの結婚のことを親が占う場合、それが嫁取りならば子孫を夫として官鬼を用いない。これは婿取りであっても同じで子孫を用神として妻財を用神としない。
もし占う対象が兄弟ならば用神は兄弟であり、親の再婚を占うような時は父母を用神として、いずれも官鬼や妻財を用神としない。
また仲人の選定吉凶を占う時は別占が望ましく、その際は応爻を仲人と見立てその吉凶を談じるべきである。つまり結婚を求める対象が六親五類に求められる時は五類に用神求め、それ以外の場合は応爻を用神とするのである。
○婚姻 人物
男女の性格や要望を推断する時は、用神が旺相すれば健康で肉付きが良く、休囚衰弱は痩身である。
白虎や玄武、勾陳を帯び、用神が土や火行ならば容貌は醜く、青龍を帯び用神が水行や金行ならば誠実な人物。休囚、衰弱して原神の生を受けるものならば、容貌は醜いものの賢い人物である。旺相して墓運ならば、誠実だが病弱とする。
ただし、もっとその性格や要望を詳細に知ろうとするならば分占することが望ましい
男女ともにその本命にあたる爻、(例えば午年生まれの人ならば午を帯びる爻が本命爻)これはその人物の生まれ歳の地支が卦中にあり妻財や子孫を帯び、あるいは青龍や貴人等の吉格を帯び、あるいは暦から好作用を受け、原神の生を受けるものならば栄華の吉象とし、逆に兄弟や官鬼を帯び、白虎や咸池などの凶煞が付帯したり、暦から悪作用を受ける場合は将来性がない人物である。

男女ともに本命爻が父母を帯びる時は技芸学問を好み、その時本命爻が青龍を帯びる時は文学を好む。
本命爻が兄弟を帯びる時は賭博や勝負事を好む人物、あるいは浪費壁がある人物である。
従って、本命爻は子孫や妻財を帯びるのが良く、財を成し家運向上、家内安全の吉象である。
一方で本命爻が官鬼を帯びしかも凶煞を付帯する物ならば、病氣がちな人物。或いは何か刑罰に被る人物。貴人等の吉煞ならば高貴な人物、あるいは社会的な肩書がある人。凶煞が付帯するならば役所などの下っ端役人である。

この様にその他のことは同様に類推すると良いだろう
用神とする妻財、官鬼が刑や剋、冲等の傷が無ければ夫婦和合の吉象である。
一方で用神が刑や剋、冲を受けるならば夫婦仲は良くない。
男性が婚姻を占って、用神の妻財が空亡するならばその婚姻は凶、女性が占って官鬼が空亡ならばその婚姻は凶、先述したように子どもの結婚ならば用神は子孫、兄弟ならば用神は兄弟であり、このような時は妻財、官鬼を用神にしてはならない。
男性が婚姻を占って、妻財が空亡しその下に官鬼が伏神するような卦を得た時は、その妻は前にも縁談があったが、結婚前にその夫となる男性とは死別している。

もしその空亡の妻財が白虎を帯びて発動する場合は、結婚歴がありその夫とは死別している。
官鬼が妻財に伏神する卦を得た場合は、既婚者である。妻財に官鬼が伏神する場合も同様である。(※易照注・近代五行易では発動する兄弟爻を以て既婚者、未婚者と見る、あるいは卦身が官鬼或いは妻財を帯び発動する場合も既婚者である)
もし官鬼が空亡でなく、その解き妻財が兄弟爻や日辰から剋や冲の作用を受ける時は、その妻は離婚歴がある。
官鬼が妻財の下に伏神し空亡でない場合は、既婚の女性とする。もしその官鬼が日辰や発動する爻から冲されて暗動し、その官鬼が世爻を刑、剋する時は今後、その官鬼の男性と婚姻をめぐってもめ事がある。
男女ともに婚姻を占って、用神が両現するときは再婚を意味する。女命の占で用神が共に発動する時は、前夫と後夫の間で争いごとが起こる(女性の前夫との間の離婚が成立していない)。(※易照注・原文“両家より争ふて娶る”を現代的に解釈)
妻財が世爻について玄武を伴い静爻の場合は、その妻は姑に従わない
妻財が発動して子孫に化すは、その妻は子連れであることがある。ただし妻財が空亡ならばその妻は短命である。或いは妻財が退神に化したり、反吟(※)する場合は後日離婚して別の男性と再婚するか、実家に帰ってしまうだろう。(※易照注・原文“冲にあう”を冲に化す、則ち反吟と解釈)
妻財が発動して進神に化す場合は、妻が使用人を連れてくることがある。ただしこの時日辰から冲されて冲散(※)する場合は、その使用人が出奔してしまうことがある(※易照注・原文“冲にあふは”とあるが、進神に化したものが冲の関係とはならないので近代五行易的に、発動する爻が日辰から冲を受けて冲散すると解釈した)
男性が婚姻を占って、世爻が発動して妻財爻と合する場合は、既に体の関係があって婚姻に至る象である。妻財が発動して世爻と合する場合も同様で、その関係は女性からの誘いである。(※)ただし発動する妻財が世爻ではなく、他爻に合する場合は他の男性と体の関係がある。他爻が発動して妻財に合する場合は、他の男性が女性と関係を持っているとする象である。(※易照注・一部改訳。この概念は現代でも通用する概念である。妻財の下に子孫が伏神するような時は、妊娠している可能性がある)

占って発動する官鬼が官鬼に化す場合は、進神、退神を問わず出会いと別れを繰り返すと解釈する。
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