易経繋辞上伝を読み解く30

易経繋辞伝
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易経「繋辞上伝」を読み解く29
易経繋辞上伝を読み解く第10章第1節易経を占いとして生かすことに意義を説く

易経繋辞上伝を読み解く30

是(ここ)を以て君子、將(まさ)に爲す有らんとするや、將(まさ)に行ふ有らんとするや、これに問うて以て言ふ。其の命を受くるや嚮(ひびき)の如く、遠近幽深有る无く、遂に來(らい)物(ぶつ)を知る。天下の至(し)精(せい)に非(あら)ずんば、其れ孰(た)れか能く此(こ)れに與(あずか)らん。(繋辞上伝第10章第2節)

人間が発する「問い」に、100%宇宙は答えを用意してくれています。ただし発する「問い」の難度やレベルに応じて、その答えもまた様々です。その答えはメッセージとして明快に示されることもあれば、事象として目に映る形で表されることもあります。

一方で、難易度の高い問いであればあるほど、その答えは明快ではありません。問いを発した人がその答えを読む「読解力」が必要となってきます。それは時に「氣付き」であったり、「悟り」に近いものとなります。

発する問いに対して、宇宙は即座に答えを用意しますが、問いを発する人間の読解力が至らなければ、答えに気付くのは時がたってから…ということもしばしば起こり得ます。

「 是(ここ)を以て君子、將(まさ)に爲す有らんとするや、將(まさ)に行ふ有らんとするや、これに問うて以て言ふ。其の命を受くるや嚮(ひびき)の如く、遠近幽深有る无く、遂に來(らい)物(ぶつ)を知る。天下の至(し)精(せい)に非(あら)ずんば、其れ孰(た)れか能く此(こ)れに與(あずか)らん。 」

「君子が何か事を成そうと理想に燃えて思い立った時、あるいはその理想を実際の行動に移そうとするときに、易経にその吉凶を問えば、易(宇宙)は打てば響くように物事背景や、近い未来、遠い将来、表に現れてこない物事の背景を明確に告げる。易(宇宙)は問いに対してただひたすらに純粋にその答えを明示する。だからその答えには事の善悪や、その答えによるその後の行動の是非…推奨・自重といった人為的な観念はなく、答えを得た後の行動は問いを発した者の判断にゆだねられている。そうであるならば、その答えを得るにふさわしい君子たるべく修養を怠っていて、どうして易の至誠の妙理を活かすことができようか?」

「五行易」においても同様に、出した卦に問いに発する「事象(じしょう)」が卦に現れているか?問いを発した人物の心理であったり、過去に発生している事実が卦に現れているか?この事象がしっかりと卦に現れているならば、そこからこの先の未来予測を、その吉凶から判断できます。

例えばこれは、自民党総裁選の有力候補の一人、石破氏の動向を占ったものですが、石破氏本人を表す応爻(二爻)は占日の辰日に同じ辰(土)を帯び日併と非常に強い。日辰は子孫を帯びていますので、全国の党員から根強い支持を受けている様子を表しています。

一方で応爻も子孫を帯び、子孫にとり父母は忌神にあたる為、父母=長老、派閥の長である党内の有力議員には受けが悪い様子です。

ついでに言うならば応爻に付く「勺陳」は膨らみという象意があり、石破氏の容貌を象徴しているとも言えます。

以上卦象には、石破氏をめぐる党内事情が事象として表れていますから、これを以て吉凶よりその当落動静を判断することができます。

石破氏、総裁選不出馬を示唆…「感染急拡大の最中の表明は個人的に違和感」 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン

応爻自ら動いて回頭の剋の「日辰変壊」であるがために、石橋は立候補できないと断じたわけです。

前節を承けて、易経を実生活で生かすということは、勿論その卦象や爻に掛けられた辞より人生訓を察したり、卦象の形から事物の背景やその構成を察したりするだけでなく、時には占いを立ててその未来を予測する。この節の「問い」には、易の「占い」という側面を強く孔子も強調しています。

「五行易」占例 自民党総裁選を検証する
自民党総裁選の検証です

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