源義経=チンギスハン説を検証する 

五行易占例
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源義経=チンギスハン説を検証する

歴史の珍説、トンデモ説とされている中に、源義経=チンギスハン説という物があります。

源義経像(左)  チンギスハン像(右)

平家討伐に功があった義経に対し激しい嫉妬心と、自らの地位を脅かすのではという猜疑心に満ちた兄の頼朝が義経を奥州平泉に追いやります。

義経は当時奥州独自勢力を対し保っていた奥州藤原氏の藤原秀衡を頼りますが、秀衡の死後その庇護を失い、秀衡の子泰衡の裏切りにより、奥州で命を絶ったというのが定説です。

しかし、その首級は頼朝の元には届けられずその最期ははっきりとしない点、同時に大陸モンゴルの地で覇を唱えた英雄チンギスハンの旗印が源氏の白旗に似ていて、時系列的に奥州から大陸に逃れた義経が、チンギスハンになったという説ですが、歴史の浪漫を感じるものの、筋は通るが確たる文献、史料が無く長らく珍説とされていました。

藤原泰衡

ところがこの説を、東北大学の名誉教授の田中英道氏が史実として改めて唱えています

田中英道「なぜジンギス・カンは源義経か」日本国史学会 連続講義 令和4年8月6日 日本経済大学(2022/08/06)
日本国史学会 連続講義 ◆田中英道「なぜジンギス・カンは源義経か」令和4年8月6日 日本経済大学 渋谷キャンパス参考動画:田中英道「シーボルトの"源義経=ジンギスカン説"を支持する」令和4年5月14日

果たして氏の主張する「源義経=チンギスハン」は真説なのか?五行易で検証してみます。

立卦及び卦象

本卦「火水未済」、之卦に「風水渙」を得ました。

本卦の未済卦は未完成を意味し、浪漫はあるが信憑性に欠けると、長らく歴史の珍説扱いされてきた説である様子です。

一方で風水渙は内卦が険しい険難を表す坎に対し、上卦は巽順の性格の巽、兄の厳しい追求を受け、兄に歯向かうのでは無く奥州に逃れた義経の性格、様子を表します。また上卦の巽には「船」の象意があるので、険難を避け船で大陸に逃れたと読み解くことができます。

用神は史実上の著名な人物ですから官鬼でとります。

三爻世爻の下に伏神しました。飛神は兄弟を帯び日併しますから、この爻が頼朝です。伏神したので、逆らうのでは無く奥州藤原氏の庇護を求めて逃れた様子が現れています。

六獣は白虎で、色は白、源氏の白旗です。

用神官鬼が伏神した時点で吉凶から断ずれば凶。やはり、義経=チンギスハン説は珍説なのでしょうか?

非常に難解な卦ですが、もう少し深く読み込んでみます。

 

三合と爻冲の関係に注目すると…

五爻が合住しています。五爻は子孫を帯び安住の地。易の卦を列島に見立てれば上爻が北海道、五爻はちょうど東北奥州の位置です。

五爻は三爻と同じ午(火)の日辰から合され、日辰も兄弟を帯びます。従って、頼朝の迫害を避けて奥州に逃れた義経の様子です。

ちなみに、初爻の父母は寅(木)。用神の亥(水)とは合の関係にありますが月破と力を失っています。父母なので義経を焚き付けてあわよくば復権を狙った後白河法皇と見立てることができます。

子孫は官鬼の忌神ですが、この場合三合の関係で読み解くと、「亥卯未(木局三合)」の関係で、未(土)は木局三合の墓にあたり、用神を墓庫に収める、すなわち奥州藤原氏が義経を匿うと解釈します。

しかしこの卦は兄弟の巳(火)を化出。巳(火)は用神亥(水)と冲の関係で、冲には弾き合うという意味から、秀衡の子泰衡が義経を奥州から追い出そうとする様子を表しています。

藤原泰衡

この卦、裏卦身が申(金)。卦身は用神の分身、すなわち奥州を追われた義経と見た時、この卦身の申(金)と応爻の巳(火)は合の関係となります。

世爻を日本とした時、応爻は外国です。応爻の巳(火)は月建の申(金)と合する月合と強く、日辰に比和します。

この兄弟を義経の生まれ変わりと見た時、月合して日辰に比和する旺相な爻で、英雄チンギスハンと見立てることが可能です。

ここで本卦「火水未済」の上爻の爻辞に注目すると、「其の首(こうべ)を濡らす」とあり、命を落とす危機を想起させます。しかし爻辞はその直前に「咎なし」とこれを否定します。従って、命は落とさない。

之卦風水渙の上爻「其の血(いたみ)を渙す。去りて逖(とおく)に出(い)ず」象伝に「其の血に渙するは、害に遠ざかるなり」とあり、まさしく頼朝や泰衡の迫害を逃れた義経を暗示させる言葉がかけられています。

占断

複雑な卦ですが、深く読み解くと易の卦は、史書が伝える義経がたどった道筋と、人間関係ことごとく辻褄が取れています。

従って、占断は源義経=チンギスハンと断じます。

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