「五行易」入門①(基本的な用語について)

「五行易」入門
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この記事で解説すること
①「易」の基本的な用語
②「暦」の出し方及び用語について

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 「五行易」と称される占術は、中国の春秋戦国時代に活躍した方士(道士)と呼ばれた「仙術」の使い手の一人、「鬼谷子(きこくし)」が編み出した占術と言われています。鬼谷子は「四柱推命」で知られる推命學の「子平推命學」の思想をもとに、周易の卦象に天干地支(いわゆる干支のこと)を割り振る「納支(納甲・なっこう)」という独特の技法を確立。これにより物事の吉凶はもちろん、物事の帰結、改善すべき点、事象の背景、帰結の時期に至るまで克明に表すことのできる占術として、ごく一部の占術家が秘伝として扱っていた「占術中の仙術」として現代に伝わっています。

 易といえば筮竹を使用する「周易」が有名ですが、その周易の大家である高島嘉右衛門も、その効験を認め自らもひそかに出した卦を五行易で解釈していたと言われています。

五行易で何が占えるのか?

 「五行易」は周易と異なり、占った年月日時(主に月日)を重視します。このうち年まで考慮するのは長期にわたる占断(歳の運勢や一生にかかわる案件の占い)の場合を除き、また、時間まで考慮して立てる占いも現代では余り行っていません。この占断に暦の作用という概念を加えることで、五行易は物事の吉凶の帰結の時期、またその背景、何を成すべきか、成してはならないか等を具体的に、また時期なども明確に示すことができます。

 一つ例を上げます。五行易の最も得意とする占的(占う目的)に「探し物占」があります。この場合「探し物」が出てくるか?また、どこを探せばよいか?を五行易から知ることができます。

 占的は「土地の権利書の行方」です。ご相談者は相続の関係で土地の権利書を探しています。権利書は二つあり、そのうち一つは見つかったがもう一つがわからないとのことです。

 権利書は「財産」ですからお金や貴重品を表す「妻財」が付く爻(こう)を見ていきます。「妻財」は二つ(初爻、四爻)現れ、権利書が複数あり、一つは四爻に相談者ご自身を表す「世爻」がつき、権利書の一部は見つかった様子が現れています。もう一つの権利書はどこでしょう。

 初爻の「妻財」ですから家の中であれば一階、床に近い所にあります。初爻は陰爻(–)から陽爻(ー)に変化していますので元々あったと思われる場所から動いている。さらに陰爻(–)の丑(土)と陽爻(ー)に子(水)で子丑の支合の関係となりますので見つかりにくいようです。

 初爻には「勾陳」という六獣が付き意味するところは「古い、素朴、ありふれた、膨らみ」といった意味から、どこにでもあるような古い封筒かファイルに入っています。初爻の上の二爻は「父母」の亥(水)で「兄弟」の寅(木)が伏神しています。何か書類(父母の象意)の山や束と一緒になっていて見つかりにくい(兄弟の象意、邪魔、障害)ようです。

 

 丑(土)は占った暦、丑月辰日に月では同じ地支、日にちでは同じ五行でよい関係ですからこれは必ず出てきます。「発見は占った日から見て明日、または明後日に出てきます」と相談者に伝えたところ、翌日に一階の収納家具の一番下の引き出しの書類の束の中から、古い封筒に入れられた状態で出てきたそうです。

 これは一例です。独特な解釈、用語が出てくるので最初は理解しにくいと思います。ただし、基本的な考え方は、「五行の相生相剋」の関係に、「地支の相冲(支合)、相合(支冲)」の関係で吉凶を断じていくので、このルールを覚えてしまえばだれでも吉凶を断ずることはできます。

基本的な考え方

「易」の用語

 ここではまず、「五行易」で使用する用語を簡単に説明します。

「卦」

 占う際に求める「易」の形(「卦象(かしょう)」と言い、シンボルです)。

この八種類を組み合わせることで、64通りの組み合わせができます。この地上で発生するあらゆる事象をシンボルで表したものがこの「64卦」です。

 「64卦」にはそれぞれ名称と、意味する物語がありますが、「五行易」では特に覚える必要はありません(「周易」では得た卦より吉凶を判断しますが、「五行易」では卦は容器にすぎません)もちろん慣れてきたら覚えておいた方がよいでしょう。

「爻(こう)」

 それぞれの「卦」は三つの「爻(こう)」で形成されます。爻には陽爻(—)と陰爻(- -)の二種類があります。

爻には「爻位(こうい)」という位置の名称があり、下から順に「初爻(しょこう)、二爻(にこう)、三爻(さんこう)、四爻(よんこう)、五爻(五爻)、上爻(じょうこう)」と呼びます。また四爻、五爻、上爻の上半分を「上卦(じょうか)or 外卦(がいか)」,初爻、二爻、三爻の下半分を「下卦(かか)or 内卦(ないか)」と呼びます。

 爻位は占断上、冒頭で上げた「探し物」を占う時、「外卦(上卦)」を二階、家の外と判断したり、「初爻」を床の近くというように、内外、上下という具体的な位置に当てはめてみることがあります。

「本卦」と「之卦」

 「五行易」では一つの占事に二つの64卦を出します。最初に出したものを「本卦(ほんか)」、次に出したものを「之卦(しか)」と呼び、二つの卦を見比べて占った物事の変化を見ていきます。

「暦」の用語

 続いて、占う際に使用する「暦」の用語について解説します。

「太歳(たいさい)」

 年の干支のことです。ただしくは「乙(きのと)卯歳」の「乙卯)」と表記しますが、「五行易」では天干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)は使用しませんので、歳の地支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)だけ覚えればよいです。また、「太歳」を使うのは10年後のことや自分の生涯、一年の運氣…のような長期にわたることを占うのでなければほとんど使用しません。

「月建(げっけん)」

 月が帯びる干支のことです。太歳同様に天干と地支を合わせて表記することが正式ですが、こちらも天干は省略します。地支だけ覚えれば十分です。

「日辰(にっしん)」

 日にちが帯びる干支のことです。「日建(にっけん)」と呼ぶこともありますが同じことです。こちらは天干も使用します。「旬の空亡」を出すためです。

「暦」について

 「五行易」で使用する暦は「干支暦」を使用します。これは地上から見える太陽の角度を計測換算し一年を約360日に割り振る暦で、中国の漢王朝時代に基礎が固まりました。正式には占術専用の「万年暦」を使用しますが、日付そのものは「旧暦」に対応していますので、特別に用意する必要はありません。旧暦の表記があるカレンダーが手元にあれば十分です。

 ただし、干支暦を根拠としている「四柱推命」では、月によっては「本氣」「余氣」と同月内でも天干を使い分けたり、「九星氣學」においても、節分を期に切り替わる九星本命星も、節分前後約一か月は前後の星が相互に影響しあうと考えられています。

従って、日付の変わる前後も当然作用が交雑すると考えるのが自然であるし、占術の大家も「22時以降は占わない」と戒めていることからも、午後10時から午前2時の間は、占わない方が無難でしょう。

 暦の表記は正しくは「(乙)丑歳(丙)辰月丁亥日 午未空亡」のように表記します。※( )は省略してかまいません。

 暦が誤ってしまうと、占断も大きく狂ってしまい、正しい判断を下せなくなりますので、少なくとも月と日にち、空亡は必ず手元に明記しておきましょう。

 

「空亡」とは?

 「空亡」は、天干が「十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸)」に対し、地支は「12支(子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)」であるため、「甲子」「乙丑」の順に天干と地支を割り振ると、「癸酉」で天干が終わり「戌亥」の天干が不足します。この時天干からみて二つ余る地支を「空亡」と称します。

 表を見れば判断できますが、出し方を説明すると「甲○」の○にあたる地支の前の二つが空亡となります。

 空亡は占断を下す際に重要な判断の基準の一つとなりますので、見落とさないように注意が必要です。

「五行易」入門②(占い方)
入門編②では、占う前の事前準備と、占う目的(問いの発し方)、卦の出し方を解説します
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