「五行易」入門⑥(占断実践編~金運を占う~)

「五行易」入門
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 今回は、金運について占ってみましょう

☯この記事で解説すること☯
1,金運の占断のポイント
2,金運占断の肝

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「五行易」入門⑤(占断実践編~日運を占う~)
「五行易」入門⑤ 今回は具体的に日運を占ってみましょう。

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占断実践編~金運を占う~

 金運の占いは、勿論その吉凶から収入の多い少ない、宝くじが当たるか?商売を生業としている人は、その日の売り上げが多いか少ないか?を断じることができます。ただし初めに断っておきますが、「ギャンブル」の占いはまず当たりません。これが当たるならば、みんなこぞって「五行易」を学んでいるはずです。

 私の五行易の師匠の師匠にあたる先生が、その昔TVの番組で実占したことがあるようです。

①「宝くじは当たるか?」

②「パチンコ屋で当たりの出る台は?」

③「競馬予想」

①と②については、占って金運占の用神となる「妻財」の爻につく地支の方角の宝くじ売り場、あるいはパチンコの台に占断の答えを求めたようです。

ただし、宝くじ売り場もパチンコ台も仮に「東」と限定してもその対象となる売り場や台は無数にありますので、どの売り場、どの台まで特定するに至らず、結果は伴わなかったそうです。

③の競馬だけは当たったようでして、大師匠く、「宝くじもパチンコも当たりはずれは人間がコントロールするから、五行易でその運氣として推し量るのは難しい。その一方で、競馬は騎手の技量もあるが騎手だけでなく馬の運氣もかかわってくるから、この辺りを易で推し量ることはできるようだ」と結論付けています。

1,金運占の占断のポイント

 金運占での占断の用神は五類の「妻財」が付く爻の吉凶で判断します。一口に「金運」といっても、お金に関することではなく、商売が儲かるか損をするか?農業であれば収穫が多いか少ないか?お買い物であれば○○を買って得か損か?と幅を広げて断じることができる占的(占う目的)です。応用の幅が効く占的となりますので、実践の機会は多いでしょう。

 ポイントとしては、

○用神の「妻財」が月日の良作用を受けて旺相
○原神となる「子孫」の発動がある
○忌神となる「兄弟」が月日から剋を受けたり、発動の無い静爻である

この辺りが、吉凶を見定めるポイントとなります。

⇊月日の作用(復習)⇊

「五行易」入門①(基本的な用語について)
「五行易」の入門テキストです。今回は基本的な用語を抑えましょう。

 それでは具体的に実例を挙げてみていきましょう。

金運占例1

(画像はクリックすると大きくなります)

 用神は初爻の「妻財」の未(土)です。月建の辰(土)と同じ五行を帯び比和しています。日辰からの作用はありません。本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)で変化の無い静爻です。

 原神は二爻の「子孫」の巳(火)と四爻の「子孫」の午(火)です。巳(火)は月建の辰(土)からの作用はなく。日辰の亥(水)からは剋を受けています。また巳(火)は日辰亥(水)と支冲で、冲を受けています。午(火)は月建の辰(土からの作用はなく、日辰亥(水)より剋を受けています。巳(火)は本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)の変化の無い静爻、午(火)は本卦陽爻(—)、之卦陰爻(- -)に変化し発動の動爻です。

 忌神は三爻の「兄弟」の卯(木)です。月建辰(土)の作用はありませんが、日辰亥(水)より水・生木の生を受けています。本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)の変化の無い静爻です。

 仇神は初爻に伏神する「父母」の子(水)です。月建の辰(土)から土・剋水の剋。日辰の亥(水)からは同じ五行で比和します。

伏神とは?

 ここで聞きなれない「伏神(ふくじん)」という言葉が出てきました。「伏神」とは納甲の関係で卦中に「父母・兄弟・子孫・妻財・官鬼」の五類のうちいずれかがそろわないとき、その卦の「首卦(しゅか)」より足りない五類を借りてきて、本卦の該当する爻の下に充てるいわば仮の爻です。(納甲表には赤字で伏神を表記してありますので、作業として首卦より伏神を充てる作業は不要です)

 伏神は本卦の表に現れないことから、力が弱く入門編では伏神した場合その存在を無視してしまって差し支えありません。従って伏神した爻への月建や日辰の作用も考慮しなくても、占断上ほとんど影響はありません。ただし伏神が日辰と同じ地支を帯びる時は「併起(へいき)」と呼び、発動の無い静爻と同じ扱いとなるので、この場合は月建、日辰の作用を考慮します。

 注意すべきは用神が伏神した場合で、これは日辰に併起されない限り、原神がいくら強くても「凶」という判断となります。

占断

 

 占例の占断は吉です。

 用神は静爻ですが月建の作用があり旺相です。原神が二つ出現し、午(火)は発動しています。忌神は日辰から生を受けるものの発動の無い静爻で用神を剋せませんし、仇神は伏神して無力です。

 ただし、用神は発動がありませんので「大吉」ではなく、「吉」あるいは「やや吉」といった判断となります。

金運占例2

 (画像はクリックすると大きくなります)

 用神は初爻「妻財」の寅(木)です。月建の卯(木)に同じ五行を帯び比和、日辰の亥(水)より生を受け、また亥寅で合を受けます。本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)の変化の無い静爻です。

 原神は四爻「子孫」の亥(水)で、月建の卯(木)からの作用はなく、日辰の亥(水)と同じ地支を帯び日併します。本卦陽爻(—)、之卦陽爻(—)で変化の無い静爻です。

 忌神は五爻「兄弟」の酉(金)です。月建の卯(木)に支冲にあたり月破を受けます。日辰の亥(水)からの作用はありません。本卦陽爻(—)、之卦陰爻(- -)で発動する動爻です。本卦酉(金)が之卦申(金)で「退神」です

 仇神は二爻父母の辰(土)、上爻「父母」の未(土)です。ともに月建の卯(木)より剋を受け、日辰の亥(水)からの作用はありません。二爻は本卦陽爻(—)、之卦陰爻(- -)で発動の動爻。上爻は本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)で変化の無い静爻です。

占断

 占断は吉です。

用神原神ともに静爻で、忌神仇神は発動を見ます。ただし強い凶作用ではなく、吉凶半々に近い吉といったところでしょう。

 仇神の発動は原神を攻撃しますが、原神は日併するので仇神の攻撃には屈しません。一方で忌神の発動は用神を剋しますが、忌神は月破で退神ですから、攻撃といっても虚勢を張っている程度で、さほど強い脅威を感じられません。商売であれば、成約間近の商談にライバルが相見積もり等の横やりを入れてきますが、滞りは一時的でほどなく成約。お買い物であれば、買う段階で逡巡しそうですが、買って後悔はない。あるいは期待通り物物を手に入れられる。

 男性から見た異性運であれば、アタックをかければライバルに先駆けて彼女をモノにできる…という判断となります。

特殊作用

 この卦の特殊作用としては、世爻・用神が日辰から合を受ける「日合・合起」という現象です。日辰から合を受ける爻は強いのですが、一方で爻の作用が日辰との合に集中し盲目的になる…と解釈します。この例の場合、用神が日辰と合を結ぶのは日辰が亥(水)であることから、原神の亥(水)と同じ五類「子孫」を帯びるものと断じ、「期待が先行し、合理的な解釈に乏しい」と判断します。お買い物であれば、「買うこと」が目的となり、「ほしい物=買い物」という本来の目的からずれてしまいます。

 従って、用神や原神が日辰からの合を受けると、その活動が日辰に集中し本来の目的を果たせなくなるために凶意が強くなり、逆に忌神や仇神が日辰から合を受けると、仇神から原神への剋、忌神から用神への剋の作用が軽減されるので、逆に吉が強くなります

金運占例3

(画像はクリックすると大きくなります)

 用神は三爻「妻財」の卯(木)です。月建辰(土)に作用なく、日辰戌(土)都は支合し、日辰から合を受けます。本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)の変化の無い静爻です。

 原神は五爻「子孫」の子(水)で、月建辰(土)より土・剋水の剋を受け、日辰の戌(土)からも同様に剋を受けます。本卦陰爻(- -)、之卦は陽爻(—)と変化する発動の動爻です。

 忌神は五爻下に伏神する「兄弟」の申(金)で、月建の辰(土)から土・生金の生、日辰戌(土)からも同じく生を受けます。

 仇神は初爻の「父母」未(土)。四爻「父母」の戌(土)です。ともに月建辰(土)い同じ五行を帯び比和し、初爻未は日辰とも比和。四爻は日辰戌(土)と同じ地支を帯び日併します。初爻、五爻ともに本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)で変化のない静爻です。

占断

 占断は吉です。

用神は日辰から合され強く、原神も発動します。忌神は伏神するので、いかに仇神が日併していても生じようがありません。

 ただし、用神が日辰と合することは、この場合日辰は、卦中四爻と同じ地支戌(土)で、「父母」を帯びると判断します。金運であればやり取りをめぐって、多少心配、悩み事が生じる。男性から見た異性運であれば、相手女性はお付き合いにあたり親の目を氣にする…といった判断が下せます。

 またここで、少し応用的な見方をすれば、自分自身を表す爻、世爻が原神となって発動しています。ここは自ら発奮して行動すれば、目的のものを手に入れられる…という判断を下すことができます。

特殊作用

 ところで、用神を「妻財」にするにあたり、例に挙げた卦では三爻と上爻の二つが「妻財」を帯びています。この場合どちらを用神に選べばよいでしょうか?世爻を用神としない目的占では、こういった事態はしばしば遭遇します。このように二つの用神候補が現れた場合は、以下の基準で用神を選定します

1、発動している爻
2,月併、日併あるいは月破、空亡、日辰からの合、冲を受けている爻
3,世爻を帯びる爻
4,世爻に近い爻
※1から順に用神選定の条件とする

 つまり、見比べた時に、より特徴のある爻を優先します。例に挙げた卦では、上爻が世爻に近い(3の条件)ですが、三爻は日辰より合を受けますので(2の条件)、4よりも2を優先して上爻の寅(木)ではなく三爻を用神とします。

 尚、一つに絞り込む作業を行うのは用神だけで、その他原神、忌神、仇神がとも、卦中に複数ある場合は、これらはそのまま採用します。

金運占例4

(画像はクリックすると大きくなります)

 用神は初爻「妻財」の丑(土)です。月建の辰(土)と同じ五行を帯び比和します。日辰の未(土)にも比和しますが、丑未(相冲)の関係で、日辰から冲を受けます。本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)で変化の無い静爻です。

 原神は四爻下に伏神する「子孫」の午(火)です。月建辰(土)の作用はなく、日辰の未(土)からは午未の支合の関係で、日辰の合を受けます。

 忌神は二爻下に伏神する「兄弟」の寅(木)です。月建の辰(土)、日辰の未(土)からの作用はありません。また旬の空亡に逢います。

 仇神は二爻、四爻の「父母」の亥(水)です。月建辰(土)の剋、日辰未(土)からも剋を受けます。ともに本卦陽爻(—)、之卦陽爻(—)で変化のない静爻です。

※この卦は一占目、二占目ともに同じ卦が出る「不変卦」と言います。同じ卦が出る場合は変化に乏しく、現状維持に近い状態が続くことが多いです。この場合の吉凶は、用神サイド、忌神サイドの月日からの作用を見て、より旺相のサイドから吉凶を断じます。また卦中爻の発動がありませんので、物事の変化は緩慢で、吉の作用、凶の作用ともにゆっくりと作用していきます。

占断

 占断は凶です。忌神が伏神して空亡するのは全くの無力で問題ありませんが、用神は日辰から冲を受けて暗動となります。金運であれば、全く悪いわけではありませんが、利益の主要なところは相手方に持っていかれてしまいます。

 男性からみた異性運であれば、男性は貢君に終始して、彼女の氣を引こうとやっきになりますが、彼女はあなたの心中を察して、逆にそんなあなたを利用しそう…と判断できます。

 さて、この場合がなぜ凶という判断となるのかを最後にまとめていきましょう。

2,金運占断の肝

 ここでは、金運占断のカギとなる判断基準について解説します。ポイントとして解説してきたことは、用神、忌神の旺相や月日の作用…と、金運以外の占断と共通しますが、金運占は上記ポイントに加え、「用神と世爻の関係」に注目する必要があります。

 用神がいくら強く、原神の動きがあっても世爻と用神となる「妻財」の関係が疎遠であれば、最終的な金運の判断は凶となります。大まかにまとめると以下のような関係です。

世爻が発動する用神「妻財」より生を受ける➤吉
世爻が発動する「妻財」より「合」を受ける➤吉
世爻が発動する「妻財」より「冲」を受ける➤吉凶半々
※他の要素を見ます
世爻が「妻財」を帯びる➤吉
※以下で解説します
世爻が発動する「妻財」より剋を受ける➤吉
※以下で解説します
世爻が発動して「妻財」を剋す➤凶
※以下で解説します

⇊世爻と応爻とは(復習)⇊

「五行易」入門③(占断法前編)
今回は「五行易」の吉凶を出すための判断の仕組みについて解説ます。基本的な用語を抑えましょう
妻財と世爻の良い関係

 金運占例1で上げた卦に注目してみましょう。

この卦では、世爻が用神を帯びます。世爻とは自分自身を指しますので、占った際世爻が用神を帯びることは、願いが半ば叶った吉象ととらえます。金運を占う以外の場合でもこの概念は応用でき、例えば「就職先が見つかるか?」という占いを立てた時(仕事なので官鬼を用神とします)、世爻が官鬼を帯びるような時は、「仕事は見つかる」という判断を下すことができます。

 この例では世爻が「妻財」を帯びますので、占断上吉と判断することができるわけです。

 二例目も同じく世爻が用神を帯びます。この場合も吉と判断しましたが、仇神と忌神の発動を見ますので、半吉と判断します。

相手に利益が行ってしまう例

 先ほど挙げた占例を見てみましょう。この例では、用神は静爻ですが忌神は伏神して空亡ですから、一見吉と判断してしまいますが、この場合「妻財」が応爻に就いてしまうことが凶と判断する理由となります。世爻が自分自身を差すのに対し、応爻は相手、彼、を指しますので、「旺相な財爻でも利益は相手がもらってしまう」あるいは「相手に財が付く」と判断します。

「財来たって我に就く」

 一方でこの卦の占断では、「金運が全く悪いわけではない」と判断したのは、用神と世爻の関係です。用神の「妻財」は丑(土)に対し、世爻は亥(水)で、世爻から見ると用神は土・剋水と自分を剋してくる存在です。しかし、金運を占う時は、これは「財が自分に向かってやってくる “財来たって我に就く”」と吉象としてとらえます。従ってこの場合、「妻財」は静爻ですが旺相であるので、多少のおこぼれ的な利益は得られるでしょう…と判断します。

 これも応用が可能で、例えば「愛犬が行方不明。みつかるか?」という目的で占ったとき(用神は愛犬で「子孫」で判断します)、もし世爻が「官鬼」を帯び、用神の「子孫」が旺相で発動するような時は、用神が世爻を剋しに来ますので、“愛犬が自分に向かってくる”と判断し「見つかる」という判断を下すことができます。(画像はクリックすると大きくなります)

 用神は発動して世爻を剋してくる関係です。月建の卯(木)より生を受けているのでペットは無事です。ただし、原神が伏神して言うので、やや衰弱しているでしょう…という判断が下せます。

 

「我ゆきて物を尋ねる」

 先ほどとは反対の関係です。用神「妻財」を剋す「兄弟」を世爻が帯びるような場合は、自分の「欲望」強く、思い通りにならない凶占と判断します。

(画像はクリックすると大きくなります)

 このような例の場合、用神は回頭の剋を起こしていますし、「妻財」は応爻を帯びます。世爻は「兄弟」を帯びて発動していますから、財を求める氣持ちが強い。しかし、思いは反対に相手に利が行くばかりか、場合によっては金銭をめぐるやり取りで深刻な人間関係の対立が起きる…という占断を下すことができます。

 これも同様に他の目的の占いで応用ができます。仕事を求める占いで、世爻が用神を剋すような関係(用神は「官鬼」のときに世爻が「子孫」を帯びる)ような時は、思いとは裏腹に就職は叶わず…という判断となります。

金運占まとめ

 以上をまとめると、以下の通りとなります

金運占の判断ポイントまとめ
1、用神「妻財」と忌神「兄弟」の力関係
2,月日の作用
…ここまでは他の占断と変わりません
3,「妻財」と世爻の関係

 1,2のほかに3の要素が加わるところが他の占断と異なる判断のポイントです。ただしこの考え方は他にも応用が利きますので、金運占が慣れてくると様々な占いを立てられるようになります。

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コメント

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