「五行易」入門⑤(占断実践編~日運を占う~)

「五行易」入門
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いよいよ立てた卦から具体的な吉凶を断じていきます

☯この記事で解説すること☯
1,占断のポイント
2,日運の吉凶の判断

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「五行易」入門④(占断法後編)
 今回は納甲した卦への、月日の五行の作用を見ていきます。☯この記事で解説すること☯1,暦からの作用2,月建の作用3,日辰の作用⇊前回の記事はこちら⇊⇊開講中の講座のご案内⇊占断法後編1,暦からの作用 「五行易」で採用する「干支暦」は(年)月

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「五行易」入門③(占断法前編)
今回は「五行易」の吉凶を出すための判断の仕組みについて解説ます。基本的な用語を抑えましょう

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占断実践編

 「五行易」はもちろん理論を覚えることも有用ですが、繰り返し「実践(占)」を積み、特徴的な作用、爻の動きなどの特徴や事象発生時のクセを覚えることが、上達の早道です。

1.占断のポイント

 「五行易」の吉凶の判断のポイントは、占いたい質問の中心となる主事爻「用神」とそれを支える「原神」対、用神に敵対する「忌神」とそれを支える「仇神」どちらの勢力が強いかです。

 

 吉凶の判断は、月日の生、比和などの良作用に加え、爻が発動(動爻)となると最良です。用神が月日から良い作用を受け発動し、原神にも発動があればその用神は非常に強く吉と判断できます。逆に用神が月日から剋や破の作用を受けるところに、忌神は発動して動爻になり、忌神に月日が生や比和などの良作用があると、凶という判断となります。

2、日運の吉凶の判断

 「日運」は「身命占」とも呼ばれ、自身の運氣の吉凶を大まかに判断しますので、占った運氣の吉凶を金運、仕事運…のように置き換えることでそれぞれのテーマごとの運氣をざっくりと大まかに推断することができます。

身命占の占断のポイント

 身命占の用神は自分自身を表す爻「世爻」を用神とします。この世爻が月建や日辰より生受けたり、比和して「旺相(おうそう)」であれば概ね吉となります。一方で世爻が月建や日辰の剋の作用を受けることは、世爻が衰弱するので概ね凶と判断します。ここで注目すべきは世爻の「五類」が何を帯びているかです。

「五類」とは、納甲表の各卦の左側に書かれている「父母・兄弟・子孫・妻財・官鬼」の五つの表記を差します。

 五類の持つ意味、象意については以下の記事をご覧ください。入門編では、五類については納甲表を見ればすべての卦に記載がありますので、最初のうちはなぜその爻が「父母」を帯びるのか、「官鬼」を帯びるのか?…と考える必要はありませんが、「五行易」の上達には避けられない知識ですし、象意を覚えるうちにだんだんと身についてきます。

⇊「五類」についての詳細はこちら⇊

「六親五類」とは
「六親五類」とは、四柱推命に由来する考え方で、自分を中心に自身に大きく影響を及ぼすであろう近しい肉親を差します。ここではこの六進五類について「五行易」での象意を解説します

五類の持つ象意をざっくりと大まかに分類すると、 

○「父母」=学業、上下の人間関係、悩み事
○「兄弟」=人間関係、障害、出費
○「子孫」=ラッキー、楽しみ、油断
○「妻財」=金運、飲食、男性から見た女性
○「官鬼」=仕事、病氣、トラブル

となります。用神である世爻が五類の何を帯びるのかで、その日一日の自分の周囲、あるいは自分が強く感じる出来事、事象を類推することができます。

身命占例1

(画像はクリックすると大きくなります)

 用神は世爻・二爻の「妻財」丑(土)です。月建の辰(土)と同じ五行を帯び比和しますが、日辰の卯(木)より木・剋土の剋を受けます。本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)と変化のない静爻です。

 原神は五爻の「子孫」の巳(火)です。月建辰(土)からは作用なく、日辰の卯(木)からは木・生火で生を受けます。本卦陽爻(—)、之卦陽爻(—)

で変化の無い静爻です。

 忌神は初爻、上爻の「兄弟」の卯(木)です。月建辰(土)の作用はありませんが、日辰の卯(木)と同じ地支を帯び、日併です。このうち上爻は本卦陽爻(—)から之卦陰爻(- -)への変化する、発動の動爻です。

仇神は三爻の「父母」亥(水)です。月建辰(土)からは土・剋水の剋、日辰の卯(木)からの作用はありません。本卦陽爻(—)が之卦では陰爻(- -)に変化する発動の動爻です。

占断

 占断は「凶」です。

用神原神ともに静爻に対し、忌神仇神は発動を見ます。特に忌神は日併と強力です。世爻は「妻財」を帯びますので、この日は金運が悪かったり、男性は異性運が良くありません。ただし、用神原神、ともに月日の作用があるので大凶ではなく、比較的身近で些細なトラブルでイライラするでしょう。

 

特殊作用

 発動する爻は特殊な作用を伴うことがあります。この卦では忌神の卯(木)が之卦では子(水)に変化しています。本卦の卯(木)は変化した先の子(水)より水・生木という生を受けます。この現象を「回頭の生」といい、もともとの爻は自ら動いてさらに強められます。この場合、忌神が回頭の生ですから、凶意が強まります。

 仇神の亥(水)は之卦では辰(土)に変化しています。本卦の亥(水)は変化した先の辰(土)より土・剋水の剋を受けます。この現象を「回頭の剋」といい、もともとの爻は自ら動いて自滅する形です。この場合、仇神が回頭の剋ですから、悪いことはあっても長続きしない…という判断となります。

 発動爻の特殊作用はほかにもありますが、その都度解説していきます。

身命占例2

(画像はクリックすると大きくなります)

 用神は二爻の世爻・「官鬼」の巳(火)です。月建辰(土)からの作用はなく、日辰寅(木)から木・生火の生を受けています。本卦、陰爻(- -)、之卦も陰爻(- -)で発動の無い静爻です。

 原神は三爻の「妻財」の卯(木)です。月建辰(土)からの作用はありませんが、日辰寅(木)と同じ五行を帯び比和しています。本卦陰爻(- -)から、之卦では陽爻(—)に変化して発動する動爻です。原神の発動は用神を強く支えます。

 忌神四爻の「子孫」の亥(水)です。月建辰(土)から土・剋水の剋を受け、日辰の寅(木)からは作用がありません。本卦陽爻(—)から、之卦は陰爻(- -)に変化する発動の動爻です。

 仇神は五爻の「兄弟」の酉(金)です。月建の辰(土)から土・生金の生を受け、日辰寅(木)からの作用はありません。本卦陽爻(—)、之卦も陽爻(—)で変化の無い静爻です。

占断

 占断は吉です。

 用神は日辰から生を受けて強く、原神も発動してこれを支えます。忌神の発動を見ますが、忌神自体は月建の剋を受けているので弱体化しています。

 世爻・用神は「官鬼」を帯びますので、仕事運が好調でしょう。原神がこれを支えるので高いモチベーションを維持したまま、良い仕事ができます。忌神の発動で多少の物言い、トラブルもありますが、想定内に収まりほどなく解決します。

 

特殊作用

 原神の回頭の生、忌神の回頭の剋は解説しましたのでここでは省略します。

忌神が発動することは、用神にとり不利ですが、忌神が動くとき同時に原神が動くことはかえって吉象となります。

(画像はクリックすると大きくなります)

左の図を見ると、原神が帯びる「妻財」を生じる関係にあるのが「子孫」となります。従ってこの場合原神の卯(木)は忌神の亥(水)より生じられる関係にあたり、発動する忌神は本来ならば用神を剋しますが、原神が動くためにかえってこの原神を生じることに没頭し、用神を剋することを忘れてしまいます。この関係を「接続相生」といい、忌神原神を強め、原神用神を強めるという好循環となり吉として判断します。

 

 従ってこの卦から推断すると、仕事上で何かトラブルが発生するが自らの手で解決して、かえって周囲からの信望を得る…と解釈することができます。

身命占例3

(画像はクリックすると大きくなります)

 用神は世爻・初爻の「妻財」の寅(木)です。月建の卯(木)と同じ五行で比和し、日辰の申(金)からは金・剋木と剋を受けます。また寅と申は支冲の関係で、用神は日辰から冲を受けます。世爻は本卦陰爻(- -)、之卦陰爻(- -)と変化の無い静爻です。

 原神は四爻の「子孫」の亥(水)です。月建の卯(木)からの作用はありませんが、日辰の申(金)からは金・生水で生じられています。本卦陽爻(—)、之卦陽爻(—)で変化の無い静爻です。

 忌神は五爻の「兄弟」の酉(金)です。月建の卯(木)からは支冲の酉(金)で月破にあたります。日辰の申(金)と同じ五行で比和しています。本卦陽爻(—)、之卦陽爻(—)で変化の無い静爻です。

 仇神は二爻の「父母」の辰(土)、五爻の「父母」の未(土)です。ともに月建卯(木)より木・剋土の剋を受けます。日辰申(金)からの作用はありません。二爻は本卦陽爻(—)、之卦陰爻(- -)。五爻は本卦陰爻(- -)、之卦陽爻(—)でともに変化する発動の動爻です。

占断

 

 占断は凶です。

用神は日辰から剋を受けます。原神忌神ともに動きはないのですが、仇神が二つとも動きます。仇神原神と敵対しますので、発動する仇神原神を攻撃します。従ってこの日の運勢は、原神がつぶされて長続きしない、疲れやすい一日と言えます。世爻は「妻財」を帯びますので、お金にかかわることや飲食関係で何か苦労がありそうです。原神がつぶされるので、お買い物では予算オーバーで買うか買わないかで悩んだり、カップルならば、お付き合いはが盛り上がらず楽しくないでしょう。

特殊作用

 特殊作用としては、仇神の回頭の生と新たに「進神(しんじん)」が現れました。進神とは変化した先の地支が同じ五行で地支の順番に順行して変化する現象です。進神の組み合わせは以下の通りです。

「水」…亥(水)➤子(水)
「木」…寅(木)➤卯(木)
「土」…丑(土)➤辰(土)、未(土)➤戌(土)
※丑(土)➤戌(土)、丑(土)➤未(土)、未(土)➤丑(土)の組み合わせは進神とみなしません、また辰(土)➤戌(土)、戌(土)➤辰(土)の組み合わせは納甲上存在しません。
「火」…巳(火)➤午(火)
「金」…申(金)➤酉(金)

 進神の意味は、勢いが付く…という意味で、例の場合仇神の作用が最初は緩慢でも時間がたつと強くなると解釈します。従ってこの例で推断すると、時間が経過するにつれ運気が緩慢に低下していきます。

なお変化する地支が逆行する形を「退神(たいじん)」と言います。意味は進神の反対で、時間の経過とともに勢いが失われていきます。退神の組み合わせは、上記進神の組み合わせの真逆となります。

 ところで、この例にはもう一つ特殊作用があります。 

特殊作用②

 

 用神の世爻は日辰の申(金)から冲を受けています。世爻は月建の卯(木)に比和して旺相です。静爻なので、この場合の冲は「暗動」となります。暗動は自発的な動きではなく、誰かに促されたり、誰かの指示を受けて動く、表立たず後ろ暗い所がある…のような解釈となります。

 例であげた世爻の暗動は、お買い物ならば自分の意思とは別に買わされたり、宣伝に乗せられてしまう。これが異性とのお付き合いであれば、誰かの顔を立てての交際、形式だけで本心は伴わない…といった解釈となります。

 今回はここまでです。次回は「金運」についてうらなってみましょう。

⇊次回(占断実践編~金運占~)⇊

「五行易」入門⑥(占断実践編~金運を占う~)
今回は金運(求財)占です。金運占の判断の仕方は色々と応用が利きますので。慣れると様々な占いを立てることができるようになります
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