易経「繋辞下伝」を読み解く40

易経繋辞伝
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易経「繋辞下伝」を読み解く39
繋辞下伝第9章第2節

易経「繋辞下伝」を読み解く40

「二と四は。功を同じくして位を異にす。其の善は同じからず。二は譽多し。四懼(おそ)れ多し。近ければなり。柔之道為り。遠きに利(よろ)しからざる者なり。其の要咎无きは、其の柔中を用いればなり。三と五とは。功を同じくして位を異にす。三は凶多く。、五は功多きは、貴賤之等なり。其の柔なるは危うく、其の剛なるは勝(た)えんか。」(繋辞下伝第9章第3節)
「二と四は。功を同じくして位を異にす。其の善は同じからず。二は譽多し。四懼れ多し。近ければなり。柔之道為り。遠きに利しからざる者なり。其の要咎无きは、其の柔中を用いればなり。三と五とは。功を同じくして位を異にす。三は凶多く、五は功多きは、貴賤之等なり。其の柔なるは危うく、其の剛なるは勝えんか。」

「二爻と四爻は陰の偶数の爻位であるが、その位置が異なっている。従って行うべき徳行も異なるのである。二爻は中を得ているので誉多いが、四爻は至高尊位である五爻に近いので、怖れ慎むことも多いのである。

柔爻(陰の位)はもともと力が弱いので、その影響力を卦の全体に及ぼすことが出来ない限定的な力である。力不足な時に遭っても、二爻が誉多く咎が少ないのは、中庸を得て(下卦の中央に遭って)己の能力をわきまえているからである。

三爻と五爻は陽の奇数の爻位であるが、その位置は異なっている。三爻は凶であることが多く、五爻は功績が多い。これは五爻は卦象における君主、天子である至高の爻位であり(その卦全体に力を及ぼすことが出来る)、三爻は賤臣の位であって、貴賤の身分の差によるものである。

三爻と五爻は陽の位であるので、この位置に陰爻(- -)が来る時は危うい。この爻位に陽爻(—)があることが正しく、その場合は十分に能力を発揮しその任に耐えることが出来るであろう。」

爻位における身の処し方

この節は、易の爻位における段階の身の処し方を解きます。

易の卦を人間社会に見立てると非常にわかりやすいです。

五爻を会社の社長とすれば、上爻は引退した先代社長、会長、相談役であり、四爻は役員や部長職です。

下卦(内卦)を組織の下部構成員ととれば、初爻は新入社員や若手、一般職。二爻は現場責任者、主任や係長職、三爻は現場指揮者である課長にあたる爻位です。

五爻は卦全体に影響を及ぼすことが出来ます。しかしこの行為は陽爻(—)が位置すべき爻位で、この爻に陰爻(- -)が座る時は社長が能力不足であるので、近い四爻や上爻が、あるいは下卦全体でこれを支えなければいけない時です。

一方で四爻は社長に近いので、社長が例えば織田信長のような独裁的なワンマンであれば、その癇癪や雷が落ちることを畏れびくびくしながら付き従います。

ホトトギスと織田信長のイラスト

下卦(内卦)であれば、社長から距離は遠いので、日常で顔を合わせながら仕事をする機会は少ないでしょう。

それでも三爻は下部組織の統率者で、直接社長の指示やすぐ上の役員からの指示を受け、伝えにくい業務命令を部下に下す一方で、その部下からは会社や仕事の不平不満を吸い上げて、報告しづらい案件も上に報告しなければならない、上下に挟まれる中間管理職です。

初爻は五爻から最も遠いし、能力も不足しているので、直接社長から叱責や指導を受ける立場にはないし、二爻はすぐ上に現場責任者が居るので、直接指導を受ける機会は少ない。なにより二爻の陰の偶数の爻位で、何事も慎重に慎んで行うので、過失は少ないのです。

仮に犯した過失の責任を問われるのは現場責任者の三爻で、三爻に凶の時が多いのは、それだけ苦労多い立場にいるからです。

初爻と上爻は、組織の内部においては主力を成す爻位ではなく、卦象に与える影響力は限定的です。組織においては、ある程度その卦象における経験を積んだ二爻から五爻の四つの爻が実務者として卦象全体に影響を成す所以です。

ところで、この爻位を言い表すのに、陽爻(—)は陽の成数の「9」をあて、「初爻=初九」「三爻=九三」「五爻=九五」、陰爻(- -)には陰の始数「6」をあて、「二爻=六二」「四爻=六四」「上爻=上六」と表記します。

孔子は繋辞下伝においてこのことを解説しませんが、陽爻(—)に陽の成数「9」を充てる所に、陽の剛の性質、一方で陰爻(- -)には陰の始数「6」を充てる所に、陰の柔の性質を表しています。

いずれの「9」も「6」も「3」で割ることが出来る。

「3」は天地人の三才の数字で易経の八卦を象徴し、陰の「6」を割ると、その商が「2」であるところは、易経の陰陽両儀を象徴する所です。

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