易経「繋辞下伝」を読み解く42

易経繋辞伝
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易経「繋辞下伝」を読み解く41
繋辞下伝第10章第1節

易経「繋辞下伝」を読み解く42

「道に変動あり、故に爻と曰う。爻に等あり、故に物と曰う。物相い雑(まじ)る、故に文(あや)と曰う。文当らず、故に吉凶生ず。」(繋辞下伝第10章第2節)
「道に変動あり、故に爻と曰う。爻に等あり、故に物と曰う。物相い雑(まじ)る、故に文と曰う。文当らず、故に吉凶生ず。」

「天道も地道も、人道も絶えず変化している。これを表すのが“爻”の陰陽である。

この爻には初爻から上爻に至るまでの等級がある。

これを物に例えて爻辞が掛けられている。

爻は等級に応じたり、隣り合う爻同士で相互に関与しあい、物語としてその卦象の時を表す。ゆえに“文”というのである。爻には正と不正があり、その事から吉凶が生じるのである。」

正と不正

爻においては奇数(初、3,5)の爻位は陽爻(—)が正位、偶数(2,4、上)は陰爻(- -)が正位であるということを、孔子も繋辞下伝の前章で解説してきた所です。

爻に掛けられた爻辞にはこの爻同士の交わりを気象や動物、物や人間の上下関係になぞらえたり、家族や夫婦の関係になぞらえたりします。

物に例えたり、人間に例える、これが人間模様であったり、昼夜や四季の巡りでこの世界を彩ります。

一方で易の卦象に時を当てはめた時、そのタイミングに適した爻と、適さない爻が現れます。

これを易経では「時に中(あたる)」と表現します。

卦象全体では吉(発展生成)に中る時に、凶(還元再生)の行動をとって足を引っ張ったり、凶の流れの中において吉の行動で抗う等、時流とミスマッチな行動を表す。これを爻の不正と言います。

これが事の良し悪しの結果としての吉凶を生じるのです。

易経の爻辞にはその時その段階の吉凶が論じられており、占って得た爻を以てその行動の指針とします。

但し往々にしてかけられている言葉は、中国の古代風習に即した言葉が使われたり引用されていますから、現代を生きる人間にとってはしばしば戸惑うことがあります。

だから言葉だけに縛られることなく、卦象の上下を成す八卦の象意や、互卦、綜卦等形を自由闊達に変化させて、取るべき方法、行動を探ることが肝要です。

孔子はここで用いる「文」について、論語ではこのように述べています。

「質、文に勝れば則ち野。文、質に勝れば則ち史なり。文質彬彬として、しかる後に君子なり」(論語雍也第6-16)

朴訥さが前面に出、教養に欠ければ粗野であり、教養や地勢を鼻にかけ、素朴さに欠ければ機械的で情に欠ける人物に映る。教養と素直さを併せ持って初めて君子と呼ぶことが出来る

ここで孔子の言う「質」と「文」とは易経の陰陽の関係とそっくりであり、そのバランスが取れた時に初めて理想の君子像が見いだせると孔子は説きます。

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同様に易経を活かすという時も、辞に捕らわれず、象に捕らわれすぎずバランスよく解釈することが、その発する問いに中る、これを「的中」と言うのです。

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