易経「繋辞下伝」を読み解く15

易経繋辞伝
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易経「繋辞下伝」を読み解く14
繋辞下伝を読み解く 第2章14節

易経「繋辞下伝」を読み解く15

陽卦は陰多く、陰卦は陽多し。その故何ぞや。陽卦は奇にして、陰卦は偶(ぐう)なればなり。その徳行は何ぞや。陽は一君にして二民、君子の道なり。陰は二君にして一民、小人の道なり。(繋辞下伝第4章)
「陽卦は陰多く、陰卦は陽多し。その故何ぞや。陽卦は奇にして、陰卦は偶(ぐう)なればなり。その徳行は何ぞや。陽は一君にして二民、君子の道なり。陰は二君にして一民、小人の道なり。」

「ところで、陽に属する(乾、震、坎、艮)卦は陰爻が多く、陰に属する(坤、巽、離、兌)卦は陽爻が多い。陽卦は奇数(1、3、5、7、9)の素数で2で割ることができない。一方で陰卦は偶数(2、4、6、8、10)で2で割る事ができる。その表す徳とはどういうものであろうか?陽の卦は一陽を君子として二陰を臣民とする。すなわち君子に臣民が従う常道であり、国として正しく治まっている形である。一方で陰の卦は二つの君(二陽)が存在し、臣民(一陰)は従うべき君に迷い、国としては正しく治まっていない形である。」

4章、陰陽の徳を吉凶で判断すると、その解釈を誤ると繋辞上伝で読み解いてきたところですが、孔子はこの章で八卦を陰を小人、陽を君子と差別します。陽卦を以って正とし、陰卦を以って不正とする解釈で正しいのか?もう少し深いところに孔子の真意がありそうです。

坤為地の下卦に「西南に朋を得、東北に朋を喪うに利し。」という言葉がかけられています。後天八卦図では、西北の乾より時計回りに北の坎、北東の艮、東の震と、陽卦のグループを形成します。一方で東南の巽から時計回りに南の離、南西に坤、西に兌で、陰卦のグループを形成します。

坤の時にあって、新たな道を開拓するのであれば、坤の安住の西南より離れた東北に赴き陽卦のグループの中に飛び込まなければならない。その覚悟がなければ、陰卦の仲間がいる西南の地に留まるべきだと、卦辞は言葉を紡ぎます。

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4章で解説する所の孔子の真意は、陽の時は力のあるリーダーが集団をまとめ上げ、力強く物事を推し進める時であるから、積極的に事を行うに可であり、一方陰の時は力のあるリーダーが不在で、合議により集団をまとめていく時であるから、積極的に事を推し進めるには混乱や、迷いが生じる時であるから不可であると言う解釈でありましょう。

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八卦陽卦の卦徳は、乾が順行、震が活動、坎は険難でこの危機を乗り越えるに積極性を求められる、艮は再始動、変革の徳があります。いずれの卦も、その時においては積極性を求められます。

一方で陰の卦は、坤は従順、巽は迷い、離は明智を持って解決の策を探り、兌を持って困難の後の喜びを表します。積極的に事を成すよりも、誰かの指示に従ったり、時の至るを待つ受容性を求められます。

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孔子の「君子」と「小人」の言葉には、君子=陽=積極性、小人=陰=受容性と区別し、その時取るべき行動の指針とすることを言い表したかったのでしょう。

従ってこの章の後半、陽卦を持って正、陰卦を持って不正とすることはやや飛躍した解釈であり、君子の道は積極性にあり進んでことを行うべき時、小人の道は指導を仰いだり、君子の登場を待ち守りを固める時…のような解釈が適正でしょう。

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